国民生活センターでは、2008年〜2017年の間に「火災保険を使ってお家を0円で修繕できます」「火災保険申請で保険金が下ります」といった火災保険に関するトラブルの報告件数が30倍になっていると指摘しています。
確かに、火災保険は火災だけでなく風災・水災などで被ったお家や家財の被害に使える保険申請ではありますが、申請の仕方を間違えると犯罪に加担してしまうケースも。
とくに「火災保険の申請代行」が問題視されています。
そしてややこしいですが、申請代行と申請サポートでは、大きく意味が違ってきます。
この記事では、火災保険の申請代行について詳しくご紹介します。
火災保険の代行申請は違法?
火災保険の申請は、契約者本人が行うことになっています。
契約者は火災保険申請にあたり、保険会社への問い合わせ・必要書類の取り寄せ・提出に必要な書類の記載・申請書類の投函までを一貫して行う必要があるのです。
こういった作業を代行業者が行うことは契約違反となり、違反が発覚すると保険金が支払われなかったり、契約解除となったりすることも。
とはいっても例外的に契約者以外の方が代行で火災保険申請をしても良い場合もあります。
給付金請求の意思表示ができるものの、病気やけがなどの理由から契約者が火災保険の給付金請求書の記入・提出することがむずかしい場合に、ご家族の方による申請が可能です。
各保険会社によって、欄外に受取人が記入できない理由、および代筆者と受取人との続柄を記入すれば良いケースが多いです。
ご病気や事故により意思確認そのものが不可能な場合は、成年後見人もしくは所定の代理請求者※1からの請求、または、指定代理請求人※2による保険金の申請代行が可能です。
※1家庭裁判所が選任した成年後見人。事前に公正証書による任意後見契約を結んでおいた、任意の後見人。
※2火災保険契約時に『指定代理請求特約』を付加しておき、契約者が被保険者の同意を得てあらかじめ指定していた後見人。
保険金お請求は法律行為です。
そのため、ご本人・上記以外の方法で火災保険の代行申請を行うとなると、弁護士によってのみ「代行請求」が可能です。
火災保険申請サポート業者も違法なの?
火災保険の代行申請ではなく、火災保険の申請サポートをしている業者があります。
両者の違いは、火災保険の申請を誰がするかという点です。
・火災保険の代行申請業者
原則、契約者本人がしなければならない書類取り寄せ・記載・投函といった申請までの流れまで、業者がすべて代行する。
・火災保険の申請サポート業者
火災保険の申請作業は契約者本人に託し、専門的なサポートのみを行う。
火災保険の申請サポートの場合は、申請を行うのは契約者本人なので、契約違反にも違法にも当たりません。
問題なく、火災保険の申請ができます。
火災保険の申請手続きをすべて肩代わりする代行業者に要注意
ご紹介したように、火災保険の申請代行は例外を除いては、ご本人のみが可能です。
「火災保険申請を手伝います」といった、電話や訪問での営業をしてくる業者もいますが、代行なのか、サポートなのかをしっかりと見極めていきましょう。
とくに「お手を煩わせません、すべてこちらで対応します」といった業者は、違法ですので要注意です。
ただし、火災保険サポート業者の中にも、詐欺行為を働くところも残念ながらあります。
こんな火災保険申請サポート業者に要注意
次のような火災保険申請サポート業者は、トラブルになりやすく、注意が必要です。
わざと破損させる
利用者にバレないように、瓦や雨樋を破損させて、自然災害による被害として申請をする
業者も。
1人で見回らせずに、きちんと様子を確認することが大切です。
虚偽の申請
被害が出ていないにも関わらず、一時的に屋根の瓦を剥がして自然被害による損害だと偽った申請を行い、「黙っているように」などと言われるケースも後を絶ちません。
契約者本人も詐欺罪に問われます。
巨額な保険金を約束する
「必ず保険金おります」と言った発言や、「平均OOO万円の保険金おりる」といった、魅力的な金額提示をされると、気持ちがついつい傾いてしまいますよね。
実際には、保険会社が下りる保険金の額を決めるので、業者が言う額での保険金が下りず、後のリフォーム・工事などでもめる原因になります。
リフォームや工事がセットになっている
リフォーム工事をする前提で、火災保険申請を無償で行う火災保険申請サポート業者を活用すると、不用品強要型の独占禁止法にあたる可能性が高くなります。
まとめ
火災保険の申請は、契約者ご本人が行うのが原則です。
火災保険の代行申請は、基本的にはできません。
ただし、契約者が何らかの事情で申請が出来ない場合には、規定の代理人による火災保険の代行申請が許可されます。
例外的な代行人による申請ルールについては、各ご加入中の保険会社に問い合わせの上で、トラブルに巻き込まれることのないよう、火災保険申請を行ってくださいね。